人材紹介の仕事は、信頼が第一。
駆け出しの頃の学びが、独立後も力になっています。


Just Legal 株式会社様
2014年設立。法務・コンプライアンス分野に特化した人材紹介会社。マーケットの豊富な知識や確固たる方法論、プロフェッショナルとしての誠実さを武器に、ハイクラスな渉外弁護士の転職希望者と採用企業のベストマッチングを提供している。年々複雑化する法曹人材のキャリアの特徴を踏まえたテーラーメイドなサービスが強み。
ヘッドハンターとしての礎を築いてくれたプログラム。
もともと大手の人材紹介会社でヘッドハンターとしてキャリアを積み、9年前にJust Legalを創業しました。独立前から一貫して、法務・コンプライアンス分野を専門としています。具体的には、企業法務を取り扱う「ビジネスロイヤー」と呼ばれる弁護士の方々と、インハウスの専門家として採用したい企業をおつなぎするのが主な業務です。
18年前、まだ前の会社で駆け出しだった頃、インテグリティ・セリングの研修を受ける機会がありました。今でもそのときのことが強く記憶に残っています。仲間とディスカッションしながら学習したことが印象的でしたし、何よりも、「顧客のニーズを丁寧に掘り起こして、そこにしっかり応えていく」という姿勢に強く共感したからです。その後はずっと、インテグリティ・セリングの考え方に基づいて、ヘッドハンターとして経験を積み重ねています。
頭の回転の速い弁護士の方たちと相対するわけですから、マッチングを焦るあまり、収入等の条件面についてごまかしたりしていると、すぐに矛盾をつかれてしまうでしょう。結局のところ、相手の信頼を勝ち得ることに尽きるのです。「この人は役に立つ」と思ってもらえることが揺るぎないバリューになる。これは私の経験則であり、インテグリティ・セリングの効果を立証するものでもあります。話をよく聞いて、ご本人もはっきり認識できていないニーズにこちらで気付き、その解決策を提示して……といったきわめて真っ当なコミュニケーションこそが、最終的には成果に結び付くと信じています。

社内の意思疎通がスムーズに。組織として成長できる。
今回、インテグリティ・セリングのプログラムを初めて自社で導入しました。設立9年目を迎え、事業規模をさらに拡大していくには欠かせないと考えたからです。私にとってはいい振り返りになりましたし、ほかの社員も、それぞれの経験と今のポジションを踏まえた、実りの多い学びの機会になったと思います。特に、マネージャークラスの者は、ずっと肌感覚で実践してきたことを体系的に捉え直すことができたと語っていました。
インテグリティ・セリングには、AIDINCⓇという6段階の営業プロセスや、人間の行動スタイルⓇの4分類に関して、独自のキーワードがあります。まずはそういう用語を全員で学ぶことで、社内の共通言語にしたかったというのも、導入理由のひとつでした。そうすれば、社員同士で情報共有がしやすくなり、アドバイスをする側もされる側も、意思疎通がスムーズになります。組織として能力を底上げすることができるのは大きなメリットです。
私たちが日々接するステークホルダーは、採用候補者と求人企業ですが、そのどちらにアプローチする場合も、インテグリティ・セリングは効果を発揮します。
例えば、インテグリティ・セリングでは、人間の行動スタイルⓇを、座標軸に基づいて、トーカー(称賛&プロセスを重視)、ドゥアー(称賛&結果を重視)、サポーター(安定&プロセスを重視)、コントローラー(安定&結果を重視)の4つに分類しています。弁護士の方は、サポーターのタイプが多いでしょうか。そんな中、社内で「昨日の先生はどうだった?」「少しトーカー寄りの方でした」といった会話が成立すれば、次に向けてより綿密な準備が可能となります。
採用担当の方と接する際も同じです。業界によって気質が異なりますし、同じ社内でも人事部と法務部ではカラーが違います。法律事務所の場合、経営を担うパートナー弁護士の方と話をすることになりますが、ドゥアーのタイプが多いようです。要点をまとめてきっちり5分で説明を終わらせることが求められます。一方で、企業の人事部の場合は、トーカーやサポーターの方が多いようで、30分の雑談の後に30分の本題、しかも細かく説明させていただくと感触がすこぶるいい。タイプに合わせて柔軟にアプローチすることの大切さを、インテグリティ・セリングが教えてくれるのです。

次につながる「クロージング」で、最終のゴールに確実に近づける。
今回の研修であらためて認識したのは、AIDINCⓇのプロセスの中でも、とりわけ最後の「クロージング」が重要だということでした。
私たちのビジネスにこれを当てはめてみた場合、クロージングは毎回のセッションで発生しています。最終的なゴールは、弁護士の方にオファーを受けていただくこと。そこから逆算して、今回のクロージングをどうするか考えます。次の面談の予定を入れることにとどまらず、例えば、ご自身のレジュメや興味のある会社のリストを作っていただくなど、次回に向けてなんらかのアクションをリクエストするのがポイントです。
営業の世界では、KPI(重要業績評価指標)にとらわれすぎて、「とりあえず顧客に会いました」といったように、ただ回数を積み上げることが目的化するケースもあります。しかし、それでは次につながるとは限りません。その後にメールを送っても返事が返ってこないことは十分あり得るでしょう。また、クロージングをより効果的なものとするには、事前の準備を怠らないことが大切です。
人の人生に関わる仕事だから、目先の利益を追いかけず、誠実に。
ヘッドハンティングは、顧客の人生に大きく関わる仕事です。例えば、企業側が「ぜひ採用したい。背中を押してほしい」となったとしても、当のご本人は受けるかどうかをすごく悩んでいて、その悩むポイントも確かにもっともだと感じられる場合があります。その会社のブランド力やノウハウの蓄積は希望通りか。ワークライフバランスや人間関係は良好か。そして、家族は納得するのか。気にされる内容はさまざまです。そこで背中を押すのが正しいのかどうか──私たちには大変なジレンマがあります。
なんらかの懸念点が払拭できない場合、基本的には強くプッシュしません。というのも、数年後、また同じような条件に巡り合うかもしれませんし、結果的に「採用しないほうがよかった」「転職しないほうがよかった」と言われては、元も子もありませんから。その分、成約件数を稼ぐというわけにはいかなくなりますが、目先の売り上げを追いかけてもうまくいかないというのが私の実感です。もちろんご本人にとってこのタイミングがベストだと思えたらしっかり促します。その微妙な判断を適切に行うのは、やはり誠実さがあってこそ。特に人材紹介という業種では、このことを心に刻まなければなりません。
インテグリティ・セリングの「顧客にとっての真の価値を生み出す」というコンセプトは、つまるところそういうことなのだと思っています。
